@秋を愉しむ
ペンネーム:Y.Y
暦の上ではもう秋だというのに、ただ日常を過ごしているだけではあまりの陽気と日差しの強さに、いったい今の季節は何なのかと混乱してしまいがちです。しかし少し視野を広げてみるとそこには山萩や彼岸花が、今の季節が秋であることを伝えてくれるようにその鮮やかで情緒的な花を咲かせ、見る者の目を楽しませてくれています。
さて、秋といえば箏や三弦の音がとてもよく似合います。先日市内のコンサートホールにて箏曲の演奏会がありました。私は純邦楽に対しては特に詳しいわけでもありませんが、生の和楽器の音に触れてみるのも風情があって良い経験になるかと思い、演奏者の知識も無いまま興味本位で行って参りました。
演奏は、小編成にてしっとりと演奏する伝統的なものもあれば、尺八や三弦を含めた総勢30人以上の大編成の楽曲、子供たちだけの編成による可愛らしいものなど多種に渡り、中でも特に圧倒されたのは、洋楽器のチェロ、コントラバス、オーボエと、洋楽の合唱団が加わって演奏された楽曲。はじめのうちは東西の音が代わるがわるに各々素晴らしい演奏を行い、次第にそれらが交じり合いながら曲を盛り上げていき、一番旋律の美しいテーマパートでは合唱団が加わって、魂を揺さぶるかのような荘厳で迫力のあるステージを披露してくれました。
純邦楽という分野は、伝統やしきたりが根強い世界のような印象がありましたが、己の良さ、誇りはそのまま尊重しつつ、それでも新しいことにチャレンジしていこうという姿は、時代に対する挑戦、未来に対する意欲という大きなエネルギーを感じさせ、胸が熱くなりました。
秋は趣味に興ずる季節。自然観察を通して秋を探したり、新しいことに触れて秋を堪能したりしに、シャツやブラウスでも持って外に出かけてみてはいかがでしょうか。